自分の語彙力のなさとか、表現力のなさに絶望しているので、とにかく本を読まなきゃという使命感に駆られ、たまたま実家にあったよしもとばななの「デッドエンドの思い出」を手に取った。
「友達にその本を読んでいるんだという話をしたらば、よしもとばななと言えば『キッチン』が有名だよね。」
という話を聞いたので、今度よんでみようと思う。
デッドエンドの思い出は5つのラブストーリーの入った短編集だ。どれも大なり小なり切ない。あとがきにて著者は強烈過ぎて心が痛めつけられるかもしれないと語っていたが、僕はあまり心は揺さぶられなかった。僕はそういう点ではあまり感受性豊かではなかったのかもしれない。まぁ、読者の読むタイミングとかコンディションとかでそういうのって左右されるよね。
というわけで、よしもとばなな童貞をこの本で卒業したわけだけれども、初見の感想と言えば、「描写が凄く丁寧で、表現力がめちゃ豊か!!」ということである。どうでしょうか、この感想、もう頭悪すぎます、ごめんなさい、よしもとばなな並みの語彙力と表現力が欲しい。
秋の空は透明な色をしていて、景色と溶け合うところまですぅっと澄んでいて、どこまでもあいまいで、はっきりした感じが何もなくて、宙ぶらりんな私を慰めた。
こういう表現が随所にちりばめられてて、ちゃんとした小説を読むのが久しぶりに読む僕はいちいち感動してしまった。どうやったらこんな綺麗で適格な情景描写を書くことができるのか不思議で仕方がない。こういう文章書けるようになりたい。
そんな情景描写に感動しながらも、やっぱりお話も面白くて、切ないラブストーリーが多くて主人公も大変そうなんだけど、でも書かれている文章が美しいので、そんな境遇や環境にも憧れてしまう感じがした。
でまぁ、この本の帯に書いてある「幸せってなんなの??」っていう問い。
その答えがこの小説の随所にちりばめられていた気がするんだけど、僕が一番感動したのが「ドラえもんとのび太の関係」だ。
ドラえもんとのび太はいつも、部屋でどら焼きを食べながら、ダラダラしながら、一緒にマンガを読んでいる。
そういうのが幸せなんじゃないかな、みたいなことが書いてあった。
そうなんだよ。お金とか、名声とか、酒池肉林とか、そういうのにあこがれたりもしないことはないけど、でも一番欲しい幸せっていうのは、そういう何気ない日常の中にあるような気がする。
僕の今の幸せな時間と言えば、週末友達と集まって安い発泡酒を飲みながら鍋をすることだとか、部室でだらだらとサークルの友達をおしゃべりすることなんだけど、まさに、日常でしかない。
「ドラえもんとのび太の関係」ってまさにそういうことをピタリと言っていて秀逸だなって感動してしまった。
てか、そういうところに幸せを感じてわりと満足してしまう自分どうなんだろって思う部分もあるんですけど、皆さんはどういうところで幸せを感じるんでしょうかね?
ということで、ざっくり僕がこの本を読んで感じた事を書いてきましたが、印象に残ってるのはやっぱり情景描写とか心理描写の表現の圧倒的豊かさだなぁ。ほんと風景とか、主人公の思っていることとか感じていることをいろんな表現で書かれているところに感動しました。そういう文章に触れてみたいという人におすすめな本だと思います。
感想は以上です、それではっ!!
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