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彼女は、彼女ではない。【小話】

 

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彼女は、彼女ではない。

 

でも、一緒に彼女の大好きな古着屋に行って

 

「これ可愛い、あれ可愛い」

 

ってわかりもしないレディースの服を物色する。

 

カフェに行って知りもしない彼女の友だちの話に付き合う。

 

天気のいい日は公園にピクニックに出掛けて、弁当を持ち寄って、お互いの家の定番おかずについて文化を披露しあったり、

 

そういう彼氏彼女っぽいことをしないわけでもない。

 

おうちで遊んだりもする。

 

一緒に映画やテレビをボーっと眺める。ときに笑いながら、ときに自分の好きなものや嫌いなものを語りながら。

 

 

お腹が空くとご飯を食べる。

 

「何を食べよう?」

 

「食パンならあるよ。」

 

「トーストっ、なんかのトーストを作ろうっ!」

 

彼女はどうやらトーストのアレンジにハマっていたらしく、トーストにマシュマロを乗っけて焼くのが美味しいと、写真を僕に見せながら笑顔で語る。

 

まるで芝居やアニメでみるような動作だった。絵に描いたようなオーバーリアクション。片手を頬にくっつけて、たまらんっ、そう言いながら。


女の子って、美味しい食べ物の話をするときなんであんなにキラキラした笑顔をするんだろう。可愛いんだろう。


僕は、は?可愛すぎるだろって心の中で悶絶しながら、


「へぇ、そうなんだ、美味しそう。」

 

そう淡々と返事をしてしまう。

 

なんで男ってやつは、僕ってやつは、感情を顔や声に出すのが下手なんだろう。心の中では心臓が飛び出るくらいドキドキしてるのに。

 

「しかし、こんなにマシュマロ載っけて、カロリーとか凄そうだなぁ。デブ飯だなぁ。」


「はぁ?誰がデブだって??、いや分かってるよ、分かってるけどさぁ!!美味しいんだもんっ!!


...これぞマシュマロ系女子ですよ。」

 

怒ったかと思えばしゅんとする。彼女の表情はコロコロ変わる。

 

僕は思わず笑ってしまった。

 

自分のコンプレックスすらネタにしていくスタイル。

 

僕は、彼女のそういうとこも好きだ。

 

自ら進んで地雷を踏んで除去していくメンタルの強さよ。

 

化粧やファッションには人一倍気を使うくせに。


彼女は、変な女の子だ。特別可愛いっていうわけじゃないけれど、動作が、言動が、僕の予想外の動きをする。

 

いきなりおっさんみたいなダジャレをいうし。

 

僕は彼女に好きという。

彼女も僕のことが好きという。


彼氏彼女じゃない曖昧な関係。友達以上恋人未満ってやつ。

 

これから、どんどん僕達の関係も、環境も変化していくことだろう。

 

どうなるかわからない。もう春だ。

 

時間が経つ。

 

マシュマロトーストを語る君の笑顔も、やり取りも、きっと記憶の中で風化していくことだろう。

 

一瞬のかがやきを。感情を。空気を。

 

写真みたいに切り取れたらなぁ。
映画みたいに、繰り返し再生出来たらなぁ。

 

君とは離れ離れになるかもしれないけれど、


忘れたくないなって思う。

 

お花見に行きたいな。