はんぺんのブログだよ。

京都に住んでる大学生のブログ。書きたいことを気の向くままにが基本スタンスだが、最近は音楽成分が高め。

小説「何者」、読みました。(ネタばれ有り)

 何者、上映中ですね。米津玄師と中田ヤスタカがタッグを組んだ主題歌でも話題になった今作。二か月ほど前から映画館での予告として度々見ていたので結構注目はしてた。

 

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 映画はまだ見てないけど、友達の勧めで原作を買ってきて読みました。

 結論から言うと、予想外に面白かった。予告では、就活頑張る大学生たちのお話ってことだけは知ってた。何人か就活生が同じ部屋で生活するテラスハウスの就活verかなとか思ってた。うまい具合に裏切られた。この本の軸はSNS、というかTwitterだったんだな。

 

 

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 朝井リョウの原作を読むのは初めてなんだけど、映画の「桐島、部活辞めるってよ」は見ていたので、何者の途中まで読んでるときはそんな意識全然なかったけど、最後の最後でこの人の本領発揮というか、ああああああああってなった。凄く面白いトリックだった。本の最初のページで登場人物のTwitterのヘッダーが書かれていて、そこで各人物を簡単に知ることができる。そして話の流れの途中途中でその人物たちのつぶやきが書かれるわけだけど、主人公のつぶやきだけなぜか書かれていない。読んでてそんなに気にはならなかったけど、でも、主人公のつぶやきも見たいなーみたいなこと、読者は心のどこかで思っていたはず。そして、その思いを最後に見事にうまい形でぶちまけられて、あれは疑問というか、主人公のつぶやきはー?という違和感を解決したときの一種の爽快感を感じる部分でもあるし、同時に心をえぐられる部分でもある。

 

 この本をよんで一番心に残った言葉は、

「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」

である。今作のキーワードの一つであるとも思う。

 どこか、定食屋や、レストラン、誰かの家でもいい。そこで料理を食べたとしよう。そこで食べたものの味が少しでも自分の中で劣っていると感じた時、「自分ならうまく作れる」、そう思うことがないだろうか? 

 あるいは誰か友達でもいい、その人のつたない文章や、絵や、演奏でもいい、歌でもいい。その中に少しでも劣る点があったとして、その時に「自分ならもっとうまくやれるのに。」そう思ったことはないだろうか?

 僕はある。心の中でいつもそういうこと思ってる。心のどこかで平気で人を批判してる自分がいる。こいつかっこ悪いなぁとか思ってる自分がいる。ていうか、2ちゃんとかまとめサイトとか行ったらこういう人がうじゃうじゃいると思う。

 でも、最近気づいたことがある。人が作ったもの、ことを批判するのは簡単だけど、人のことを達観して見て、判断するのは簡単だけど、かっこ悪いと嘲るのは簡単だけど、いざ自分でそれを実行するのは難しい、すんごく難しい。僕は最近ブログをこのブログを始めたから凄くわかるんだけど、文章を書くのってすごく難しい。まず初めの一言から難しい。Twitterは文字数に制限があるし一言でも呟けるから秒でできるけど、ブログはある程度分量がないといけない気がして、その量をかくのもなかなかんめんどくさい。一つ記事を書くのに、最低1時間はかかる気がする。めんどくさい。おまけに文章はへたくそだし。ってな感じで、一つのものを生み出そうとしたらすごくエネルギーがいる。そして、頭の中にある傑作とは程遠いものが出来上がる。すごく悲しい。なら傑作ができるまで粘れよ、って思うかもしれないけど、それじゃいつまでたっても生み出すことすらままならない。だから、妥協できる点で、今の自分のできることをして生み出したり、発信したりするわけだ。かっこ悪くても。少なくともプロではない一般の人は。

 そして、それを見たひと(昔の僕)はいう、「あいつよりは上手くできる」。自分の頭の中にある傑作と比べながら。

 

「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」

 

そういうことをうまく表現した言葉だなと、僕は思った。激しく共感した。

そして、生み出しもしないのに人を批判する自分の心を恥じた。心をえぐられた。

たぶんこの本はそういうことを言いたい本なのかなと思った。就活を通じてそれを表現していた気がする。

 

 へたくそでも、不格好でも、最初は批判されても、行動する人すべてが報われる。。。。わけでもないけど(そこを描いているのもまた上手い)、

 でも生み出す人と(理香)、生み出すこともせず、達観して評価を下す人(拓人)とどちらが、先を行っているかは、言うまでもないだろう。

 

「十点でも二十点でもいいから、自分の中からだしなよ。自分の中から出さないと、点数すらつかないんだから。」

 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)